ユシカ
「予告どおり、真っ暗闇のトンネルに突入よ! クロウ、ちゃんと手繋いでる?」
クロウ
「はいはい、大丈夫……って、なんでこの暗闇の中で反省文の話をするんだよ!」
ユシカ
「手を繋いで、雑談を交わしながら進むって約束したでしょ? だから、クレアさんを怒らせた反省文の話をしてみたの」
クロウ
「うわあ、クレア母さんからのグラタン禁止令のことを思い出すと、俺、肝試しどころじゃないんだけど」
ユシカ
「クロウ、アンタの成績が悪いのは、アンタが遅刻居眠り常習犯なせいよ」
クロウ
「ぐ……いや、その日は体調が……」
ユシカ
「ま、16歳になっても抜けてるクロウだから、アタシは付き合いやすいんだけれどね。でもこのままだと、トルニカ島の外になんて出られないわよ?」
クロウ
「それは困る。ロル父さんに会うために島を出たいし。守護団セフィルに頼めば、ルドヴァイアの地図を……」
ユシカ
「ちょっと待った。クロウ、この前のテスト、歴史がダントツで悪かったでしょ」
クロウ
「なっ……なんでそれを!」
ユシカ
「見てないわよ。でもさっきの発言で丸わかり」
クロウ
「うぅ……」
ユシカ
「ルドヴァイアの地図はね、審査が厳しいの。国から承認されても譲渡禁止だし、監査もある。理由は、不浄の地に誤って入らないようにするためよ」
クロウ
「歴史の授業で聞いた気はする」
ユシカ
「でね、不浄の地って、戦争で荒れ果てた土地のこと。創造歴74年、争いが終わって国が統一されたあとも、浄化が必要で――」
クロウ
「ユシカの口調、先生みたいだな」
ユシカ
「アタシをアンタの家庭教師にしないでほしいわ」
クロウ
「ごめんなさい」
ユシカ
「で、ロルおじさんはどこにいると思う?」
クロウ
「不浄の地かもな。ロル父さんは、何でも治せる医者だし」
ユシカ
「カッコいいじゃない。でもね、医者って信用されないこともあるらしいわよ。理由はよく知らないけれど」
クロウ
「それ、母さんも言っていた。父さんはすごいのにさ! ……おっ、暗闇を抜けたぞ! 祠の遺跡だ!」
ユシカ
「祠の遺跡、何度見てもワクワクするわ~」
クロウ
「ん? 封鎖された道に何かが……」
ユシカ
「クロウ、向こうの庭に隠した焚き火道具を取りに行くわよ! ついでに水分補給も……おいしー!」
クロウ
「俺にも飲ませてくれよ。って、まただ。あの気配……」
ユシカ
「クロウはさっきから何を気にして……って、魔獣じゃない!」
クロウ
「蕾の形をした魔獣「蕾獣」が焚き火道具をくわえているぞ!」
ユシカ
「クロウ、追うわよ!」
クロウ
「蕾獣は1体だけだな。俺が引き付けて――」
ユシカ
「やるなら一緒でしょ!」
クロウ
「おーい! 俺の作戦を最後まで聞けよ!」
ユシカ
「はい撃破! さっすがアタシたち!」
クロウ
「俺たちのコンビネーションは悪くないな。俺のフォローのおかげかな?」
ユシカ
「痛っ……脇腹が……」
クロウ
「ここでもクロウのフォロー発動! ダメージを受けたときにはだな、この桃色の果実を食べるんだ!」
ユシカ
「ありがとう! これで元気全開よ!」
クロウ
「これでユシカも、ちょっとは俺を見直したんじゃないか?」
ユシカ
「次回、いざ祠の遺跡へ!」
クロウ
「おい、俺の活躍を無視しないでくれよ! くそっ、いつか俺の決め台詞でストーリー紹介を終わらせてやるからな!」