1-1 少年少女の小さな探検が始まるまで
ストーリーは、ルドヴァイアという一国だけで統制された世界《リ・グラス》から始まる。ルドヴァイア国の外れにある《トルニカ島》には、《ルーシェ》という村がある。
ルーシェ村の人々は、村の誕生を祝う祭りの準備で賑わっていたところ、村で暮らす少女《ユシカ》は探険の地図を片手に、村の大人たちに無断で村の外へと飛び出す。ルーシェ村まで荷物を運搬する御者に協力してもらって村の外まで出られたが、御者の護衛はユシカの手にある宝の地図に歯車の刻印がないことを指摘する。
ルドヴァイア国は、禁書の所持を罪と見做している。国の検問が入っていない書物には歯車の刻印がないため、万が一ユシカの手にある宝の地図を国が禁書と見做したら、ユシカは罪人になってしまう。しかもユシカの手にある宝の地図は《シザール文字》という読み手によって内容が変わる(内容を隠蔽できる)文字が使われていたので、禁書と見做される可能性が高かった。ユシカが探検するときには【私は、そのペンダントの力に圧倒され】と読めるシザール文字は、他の者には【もう一度だけ、この子の姿を見届けたかった】と読めた。
ユシカの宝の地図は禁書の可能性があると指摘され、ユシカは落ち込んでいたが、御者から「【もう一度だけ、この子の姿を見届けたかった】程度の内容ならルドヴァイアも罪と言わないだろう」と言われると元気を取り戻す。目的地の祠の洞窟に辿り着くと洞窟の入口を潜った。祠の洞窟を進む途中にある墓地で、待ち合わせの約束をしていた幼馴染の少年クロウと合流する。
ユシカはクロウとともに祠の洞窟の奥まで進んで、祠の遺跡まで辿り着く。村の誕生を祝う祭りの日までに帰ることを約束して、ふたりは祠の遺跡での探検を始める。
1-2 少年少女の小さな探検
祠の遺跡を進むと、ユシカが持つ宝の地図に書かれたシザール文字が変化する。今までは娘にフォーカスが置かれた内容に変化していたが、今回の探険ではペンダントの石にフォーカスが置かれた内容に変化していたため、今回は何か面白いことがあるのではないかとユシカはワクワクしていた。ユシカの隣で、なぜか毎回シザール文字が読めないどころか見えないクロウがたまたまユシカの手にある地図を覗き込んだとき【国民になれる日を待ち焦がれながら衰弱し、いずれは君を置いて亡くなるだろう】と読めた。クロウはユシカにシザール文字の変化を報せようとするが、不幸にもモンスターの群れと出会してしまい、ふたりは祠の遺跡の通路を駆け抜けて逃げ回る。
モンスターの群れから逃げ回る途中で、ユシカはどこからともなく「助けて」という声を聞く。クロウの手を引きながら声が聞こえた方向に向かって走るが、床に空いた穴に気付かず落ちてしまう。
祠の遺跡とは雰囲気が変わった幻想的な場所で、ユシカは目覚める。クロウはユシカの隣で気を失ったまま倒れている。村に帰れるのかどうか不安になったユシカは、床に座り込んで俯き「助けて」と呟く。そのときユシカの向こうで青い光が発生する。青い光に近付いてみると、その正体は美しい水晶のペンダントだった。ユシカは水晶の美しさに見惚れてペンダントを身に付けようとしたとき、どこからともなく聞こえた悲鳴に驚いて、ペンダントを落としてしまう。ペンダントを拾おうとすると、床下に血を擦り消した痕を見つける。この時ユシカは、ユシカが求めていた宝について考える。ユシカにとって水晶のペンダントは探険で見つけたお宝だが、危険な場所で探検してでも探し求めた〔お宝(自分にできること)〕ではないと気付く。
ユシカが水晶のペンダントに持ち主を尋ねると、水晶のペンダントは光線を放つ。光線に従って進んだが、出口らしきものがある上りの階段と、血の痕が続く下りの階段に分かれた場所に着く。水晶のペンダントは下りの階段に向かって光を放っていたため、ユシカは〔お宝(自分にできること)〕を信じて階段を下りていく。
ユシカが階段を下りた先にある大部屋では、見知らぬ少女が倒れていた。少女は傷だらけだった。ユシカが少女を介抱しようとするが、大部屋の外にいる何者かがユシカに向かって力を放つ。ユシカの足元に赤い錠前のシンボルが映り込むとユシカの全身は赤い光に包まれ、不安を感じながら意識が閉じていく。だが最後の最後で少女の声が聞こえると、ユシカは安心して目を閉じる。その少女はユシカが持ってきた水晶のペンダントを身に付けていた。
1-3 無断外出した少年少女の救助活動
祠の遺跡を自力で脱出したクロウは、偶然祠の遺跡まで見回りに来た村の自警団の団員に助けを求める。祠の遺跡の入口に座り込んで救助を待ちながら、ユシカが置いていった鞄を抱き抱えてユシカの無事を願う。
ルーシェ村の自警団《守護団セフィル》は、祠の遺跡まで辿り着く。緊急事態のため、団長の《ガルフ》と副団長の《シークス》まで出動していた。団長のガルフはクロウに、ユシカがいなくなった場所までの道案内を頼む。クロウはユシカの鞄の中から宝の地図を取り出すと、シザール文字から発された赤い光線が道標だと言った。しかしそのシザール文字はクロウにしか見えないため、大人をからかうなとガルフが苛立ったところ、守護団セフィルの元団員《ルタ》が間に入って止める。ルタは脱退後に養護教諭になったあとも水質調査のため守護団セフィルに協力しているが、今回の事態では生徒のユシカとクロウを心配し救助に同行していた。
ルタがクロウに声をかけても、大人から信用されていないと感じたクロウは声を荒げてひとりでユシカを助けに行こうとする。しかし副団長のシークスに止められ、クロウはようやく落ち着きを取り戻す。守護団セフィルはクロウを連れて、クロウにしか見えないシザール文字を頼りに祠の遺跡を進む。
クロウが自力で祠の遺跡の入口まで戻ってこれたのは、祠の遺跡の通路にあった鏡を潜ってきたからだという。その鏡はユシカとクロウが落ちた穴の近くにあったが、本当に鏡を通れるのかを疑うような雰囲気にクロウは耐えれず、声を荒げてしまう。そのとき、階段で血の痕を見たと言った。
ガルフはクロウの言葉を信じ、鏡より先はガルフ・シークス・ルタの3名で進むことにする。ユシカが亡くなった姿で見つかる可能性もあるため、クロウには他の団員同行でルーシェに帰るよう命じた。
鏡を通過したガルフら3名は、階段を下りてしばらくして、血の痕が続く階段を見つける。慎重に階段を下りていき、下りた先にある大部屋まで着くと、倒れたユシカと見慣れない少女を見つける。ユシカは気を失っているだけだが、見慣れない少女は亡くなっていた。見慣れない少女の怪我を見る限りだと階段の血の痕は彼女のものと見られた。少女の右手には美しい水晶のペンダントがあり、左手には錆びた鍵があった。少女はルーシェ村の子ではなさそうだが、守護団セフィルの本部の地下にある遺体安置所まで運ぶことにする。ユシカと少女と少女の遺品を運びながら、ガルフは過去にガルフの妻をセフィル本部の遺体安置所に休ませたことを呟く。ガルフの話を聞いても、シークスは遺体安置所のことすら覚えていなさそうだった。
今回の騒ぎにより、ルーシェ村の誕生を祝う祭りは中止になった。
1-4 目覚めないユシカが見た夢
夢の中のユシカは、高い時計塔を目指して歩いていた。 ユシカは時計塔の広場にいた女性から〔兄さん(ジェイス)〕と呼ばれていた。女性の話を聞くかぎりだと、〔兄さん(ジェイス)〕は女性と一緒に〔恋人(ルタ)〕がいる場所まで向かう予定のようだ。女性から〔兄さん(ジェイス)〕と呼ばれるユシカは右手で手を振ろうとするが、右手は挙がらないまま、炎に包まれていた。けれども右手に焼ける痛みはなかった。
ユシカは女性に「助けて」と言うが、女性にはユシカの声が届かなかった。女性いわく、〔兄さん(ジェイス)〕は「助けてくれ」と言えない人物のようだ。
時計塔の鐘が鳴ったとき、暗闇の中から現れた男性が、女性の手を掴んで連れてゆく。男性は〔兄さん(ジェイス)〕を見て「貴方さえ運命から乗り遅れなければ、この悲劇から抜け出せるでしょう」と告げ、女性とともに暗闇の中に消えようとする。
女性から〔兄さん(ジェイス)〕と呼ばれるユシカは右手を伸ばして助けようとするが、右手は挙がらないまま、時計塔の鐘が鳴り止む頃には女性と男性が消えていた。
ユシカは夢を見ていることに気付いたが、同時に夢と変わらないことがあることにも気付いた。
1-5 目覚めない幼馴染
ユシカは、ユシカが昔に使っていた部屋で眠っていた。その部屋はクロウの家にある。ユシカはクロウの両親の養子のため、一人暮らしを始める前はクロウたち家族と一緒に暮らしていた。ユシカの様子を見に来たクロウがやってくると、クロウはユシカが眠る前で昔話をし始める。
ユシカとクロウだけでなく、クロウの弟《クルト》を連れて祠の遺跡で探険したある日、ユシカは大怪我をした。その当日、普段は家にいないクロウの父《ロル》はユシカを治療したあと、ユシカが目覚める前にトルニカ島を去った。医者のロルは世界を飛び回っていてほとんど家にいないため、ユシカはロルと面識がないかもしれないが、ロルにとってもユシカは大切な家族だから助けたいと言っていた。
今度もきっと大丈夫だとクロウはユシカの手を握るが、ユシカは目覚めない。クロウは再び昔話をする。
ユシカが大怪我をした日、ユシカは探険で何者かに背中を突き飛ばされ、暗闇に落ちた。クロウはユシカに手を伸ばしたが助けられず、クルトと一緒に下りる道を探してユシカを見つける。ユシカを発見したとき、ユシカの周りはユシカの血の痕が広がっていた。
今回の探険で祠の遺跡で見た血の痕は、クロウにとってトラウマに近いものだった。クロウは自分がしっかりしていなかったことを、ユシカを守れなかったことを懺悔する。
ユシカはついに目覚めるが、身体を起こしたユシカは左手で右手首を支えながら、右手を前に差し出す。悪夢に魘されるように、何度も「助けて」と言った。
1-6 ユシカの右手の異常
目覚めたユシカの右手に触れて、ユシカの右手がおかしいことに気付いたクロウは、部屋を飛び出し母《クレア》を呼びに行こうとする。その途中で、たまたま家に訪れていた《ミーナ》という名のガルフの娘が、クロウの様子のおかしさに気付いて話を聞く。しばらくして、騒ぎに気付いたクレアがクロウのところまで辿り着く。クロウから話を聞いたクレアはユシカの元まで駆け付ける。ユシカは床に倒れてしまっても、右手を使おうとしなかった。騒ぎの様子を伺っていたクルトはルタを呼びに行き、ミーナはシークスを呼んでくる。ミーナの父ガルフは祠の遺跡を調査中のため、終わり次第訪ねるとのこと。
先にユシカのもとまで尋ねたシークスは、ユシカの右手の異常の原因を突き止めるために当時の探険について質問する。しかしユシカはどの質問にも答えられずに終わる。その時クロウは、シークスが敢えて避けている話題を切り出す。クロウはユシカに、ユシカと一緒に倒れていた少女について問う。ユシカは覚えていなかったが、少女はどうなったのかをシークスに聞く。シークスから、少女は亡くなったこと、本日深夜に海洋散骨を始めること、団長ガルフの意向でユシカとクロウには内密で葬儀までの準備を進めていたことを打ち明ける。
内密で葬儀までの準備を進めていたことにクロウは納得いかず、シークスに対して反抗的な姿勢を見せる。ユシカはというと、どうしても遺体を見たいと無理を言う。反省の色が見られないふたりにシークスは叱責するが、「命を落とさず無事だった」というシークスの言葉に感情を逆撫でされたユシカは、右手の異常について激しく訴える。
右手の異常の症状を明かしたユシカは、疲れたから休むと言って、部屋に籠もってしまう。